潜在意識の書き換えに興味がある方の多くは、ご自分の叶えたい夢や理想があって、ワークに取り組んでいると思います。
でも、色々なワークに取り組んでみたけど上手くいかない、理想と現実のギャップが埋まらない、そういう声も実際よくあります。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?
実はそこには心(と潜在意識)の浄化と関係している、ある落とし穴があります。
潜在意識の書き換えとは?
人の意識は階層構造になっていて、日常で活動しているときに働く「顕在意識」と、無意識に働く「潜在意識」があります。
心理学者のカール・ユングは、ここにさらに深い「集合的無意識」があると述べています。
つまり潜在意識とは「自覚できない無意識な領域の1つ」です。
私たちの意識の90%以上は潜在意識と言われ、行動心理に大きな影響を与えている領域です。
脳科学や神経科学の世界では、人がなにかを決定するときその裏側では、無意識に感じているとおりに決断をすることが分かっています。
つまり、自分で決定したと思っていることも、実は無意識(潜在意識)にある感覚、感情によってそう判断しているということです。
例えば、初対面の人と会ったときに「この人は気が合いそうだ」「この人とは気が合わない」など感じ方も、潜在意識にある感覚、感情に基づいて脳がそう判断している結果です。
理論的に説明できないけどそう感じてしまう、それが脳が潜在意識の働きによるものです。
あなたの潜在意識にある感覚、感情、それがご自分の人生での物事を左右するとても大切な要因となっているわけです。
潜在意識の書き換え方法のちがい
では潜在意識がどういうものか分かったところで「潜在意識を書き換える方法のちがい」についてです。
潜在意識の書き換えというワードが良く使われますが、私自身は潜在意識の書き換えを一度もしたことがありません。
理由はシンプルで、潜在意識を根本から変えていくためには心の浄化が欠かせないからです。
一般的なスピリチュアルや潜在意識マスターの間でほとんど聞かれませんが、潜在意識を変える方法は実は3つあります。
1.潜在意識の書き換え
2.潜在意識の上書き
3.潜在意識の削除
皆さんが良く知っている
「書き換え」は
ネガティブな感情をポジティブに、潜在意識の一部を書き換えること
「上書き」は
ポジティブな感情なども含めて、よりプラスのものに全体を書き換えること
「削除」は
理想を邪魔するネガティブないらない感情を取り除くことです。
1つ1つ地道に書き換えていくのも良いのですが、私が使っている方法は3番の削除です。つまり、心と感情の浄化です。
正確には潜在意識の不快感をなくすことで「あなた本来の状態に戻ること」を指しますが、ここでは分かりやすく心の浄化としています。
本来の状態とは、無意識レベルの苦手意識、自分の可能性を制限するブレーキとなる感覚、感情、思い込みなどが何もないクリアな状態のことです。
なぜ潜在意識の書き換えよりも心の浄化が大切なのか?
なぜ私が、潜在意識の書き換えではなく浄化(=削除)という方法を使っているのか?
それは、無意識レベルにあるネガティブな感情やその原因となるものを無くして、空いたスペースをポジティブで埋めていった方が、現実化が早くなるからです。
人が理想に向かって思うように進めないとき、行動しても止まってしまうときには、必ず潜在意識レベルでのブレーキ(=感覚・感情)が存在しています。
詳しくはこちらの記事で書いています。
その状態で、潜在意識の書き換えや上書きによってネガティブにポジティブを重ねても、何かの経験をきっかけに剥がれて再びネガティブに戻ることがほとんどです。
それは、原因がなくなっていないことが理由で、ネガティブを作りだしている原因となる感情がそのままなので、無理にポジティブを上塗りしてもいずれ同じ状態にもどります。
また、潜在意識の領域はとても深く広いので、1つずつ書き換えをしていくのも手間がかかり大変です。
私が提唱している方法は、原因となるネガティブな感覚、感情、概念、価値観、信念、思い込みなどを削除していくので、あなたの理想に向かって最短・最速で進むことができます。
そして、一度削除したネガティブなエネルギーはもう二度と生まれてこないので、同じ悩みを繰り返すことがないというのが、とても大きなメリットです。
意識の変化につながる質問
とはいえ、夢や理想に向けて意識の変化につながる自分でできる方法はないのか?と思われる方もいると思います。
ここでは、自宅でできる良い内観となる「自分への3つの質問」を紹介します。
ジャーナリングなどで書く習慣がある方だけでなく誰でもできるワークなので、紙とペンを用意してぜひ答えを書き出してみると良い内観になります。
あなたにこれから叶えたい理想があるとして、まだ手に入っていない今の自分に質問をします。

自分への質問1
いま味わっている経験は自分に何を教えてくれましたか?
気づいたこと、思い浮かんだことをそのまま紙に書いてみましょう。内容の善し悪しは関係ないので、そのまま書いてみます。ここで出てきた言葉は、今のご自分への前提条件になります。
以前にお手伝いしたある経営者の方は、売上げをもっとあげて会社を大きくしたいという理想がありましたが、ある思い込みがありました。
いまの現状が教えてくれた事のなかに「孤独に強くなった」という言葉が入っていたんです。
私は「ん?」と思ってそう感じる理由を聞いてみると、実は人に相談することへの抵抗感、本音を出すのが怖いという気持ちがあり
「経営者とは孤独なもの」
「自分一人でがんばるもの」
みたいな答えが返ってきました。
そこで私が気づいたことを伝えると「いま言われてハッと気づきました」となりました。
このような、その人ごとの特有の色々な無自覚な思い込みがしまってある場所、それが潜在意識です。
そこには、理想を邪魔するネガティブな思い込みもたくさん混じっています。
うまくいかない時は、頭では理想に向かいたい自分がいるのに、ネガティブな思い込みを持つ潜在意識のもう1人の自分が、邪魔していることがよくあります。というより、ほとんどそうです。
多くの人が感じる理想と現実のギャップでモヤモヤする正体は、お互いの自分がバラバラの方向を向いていますよというサインです。
今までの失敗した経験や、誰かに何か言われたことで生まれた、理想に向かうのを邪魔する思い込みがあるよ、という意味なんです。
そういう邪魔な思い込みを放ったままで意識を書き換えをしようとしても、うまくいかないんですね。
なので、その思い込みに少しでも気づいてもらい、お互いの自分が向いている方向を合わせるための、1つ目の質問になります。
先ほどの経営者の方であれば、孤独に強くなったというのは一見良いことのように思えますよね?
その時に「なぜそう感じたのか?」を自分の体験と合わせて考えると、自分の中の思い込みが浮かび上がることがあります。
この方であれば、誰かに相談したいけどできない自分を体験したことで、経営者は孤独なものという思い込みが生まれました。
なので、私はいつもお客さまとは「なぜそう感じたのか」という掘り下げを大事にしていますので、ぜひご自身でもされてみてください。
では2つ目の質問です。
ここでは、理想とする自分や理想の状態をイメージしてください。そして、こう質問をします。

自分への質問2
その理想を手に入れたいのは何のためですか?
何のためとは「どういう動機でそうしたいのか?」という意味です。どうしてその理想を手に入れたいのか、その動機を自分に投げかける質問です。
例えば、旅行をしながらお金を自由に手に入れる自分になりたいとします。なぜそうなりたいのか、自分に動機を聴いてみます。
今の仕事がつらいから?
自分に自信を持ちたいから?
必ずそうなりたい動機がありますよね。その動機がどこから来るのかを知るのが、意識の変化にとても大切なんです。
人間の脳はとても騙されやすく、現実と空想の区別がつきません。
もし仮に、いまの現実がツラいからという理由で、そこから抜け出したいという気持ちで理想をイメージしてしまうと、脳の中では「抜け出したいような現実を味わいたい」と勘違いして、そうなるように行動させてしまうことが科学的にわかっています。
そうならないための一番よい方法は「こういう自分になるために必要」というイメージを持つことです。
意識のフォーカスを、これからそうなる未来の自分に合わせることで、現状がただの通過点になります。
例えば、旅行をしながらお金を手に入れたい理由が、今の生活から解放されたいからではなく「旅行をして世界の広さを味わいたい」であれば、脳の中の目的と動機が一致するので、うまく働き出します。
あなたの脳の中では、世界を旅して楽しんでいる未来の自分にフォーカスされるので、過去がどうかとか、今がこうだから、というのが関係なくなってしまうんです。
いまはただの通過点でしかないので、意識がそこに向かなくなるんですね。未来に意識が向いているわけです。
なので、脳も未来に向けてそう行動するように指示をするので、行動した結果、現実も変化していきます。
ちなみに、何のために理想を手に入れたいのかに対して「そのほうが幸せだから」という感じの答えが返ってくるときがありますが、それだとちょっとぼんやりした答えなので、脳も指示を出しにくいんですね。
そういう時は「なぜそれが幸せだと感じるのか?」と、さらに自分に聴いてみましょう。潜在意識は、自分の中で求める理由が分かると、腑に落ちて変化がはじまります。
あなたの動機はどこにあったでしょうか?
この質問にきちんと答えを出すと、顕在意識と潜在意識の2人の自分が、同じ方向を向きやすくなります。
そしてその時に、潜在意識にあるネガティブな感覚、感情を浄化することで現実化がさらに早まります。
それでは3つ目の質問です。

自分への質問3
自分の中でそれを手に入れる自信はどのくらいですか?
どのくらいは分かりやすく10点中、何点ぐらいかを出してみましょう。10点がすごく自信がある、0点はまったくないです。
人間は6割の自信がつくと達成できると言われています。
実はその自信に根拠は必要ありません。はじめは根拠のない自信でも、行動さえすれば少しずつ自信に変わっていくからです。
理想に向かって行動しながら、トライアンドエラーを繰り返し、小さな成功体験を重ねると自然に自信がつきます。
ここまでの2つの質問で、いまの現実から理想を叶えるのに邪魔な思い込みを教えてもらい、理想の自分になりたい動機が整っているので、あとは手に入れるために自信をもって行動するだけですよね。
でも、そうは言っても「そう簡単には自信が持てない」という方もいると思うんですね。
そういう人のために、ここまでしっかり読んでいただいたお礼に、脳のRASを働かせ自分の理想を叶える「幸せの先取り」という方法をお渡します。
脳のRASを働かせる方法
「幸せの先取り」とは脳のRASというフィルター機能を活用するための方法です。
専門的には脳幹網様体賦活系(のうかんもうようたいふかつけい)と呼ばれ、情報の取捨選択を行うフィルターシステムとして機能します。
これはあなたの興味、関心、欲求がどこにあるのかを判断して、そこに意識が向くように機能しています。
例えば、今日の仕事のあとに恋人や仲の良い友だちと食事の約束があったら、仕事中のモチベーションがあがりますよね?
新しい洋服を試着しているときに思い浮かぶのは、この服を着て明日、会社で仕事しているときの自分の姿ではないでしょうか?
つまり、私たちはこれから起こる「未来を感じて生きている」ということなんです。
明日イヤなことがあると分かっていれば、今からすでに気が重くなりますし、楽しみなことがあれば今から心がワクワクするわけです。
まだ味わっていないのに、もうすでに想像して味わっているんですね。どんな未来を味わうかで今の自分が影響されているんです。
それは、脳のRASによってあなたにとって何が一番大切か(=意識が向いている先)の情報の取捨選択をしているからです。
理想の自分になる自信が持てないときは「理想が叶っている自分を先に味わう」こと、その自分が毎日をどう過ごしているかを感じてみることです。
そうすることで、自分にいちばん大切なのは理想を叶えた自分であることを脳に意識させるわけです。
それが「幸せの先取り」です。これであれば自信がなくてもできますよね?
幸せの先取りのコツは、理想を叶えた自分が「息をするように当たり前」になるまでやります。中途半端は効果がありません。
未来の自分が息をするように当たり前になること
理想が叶った自分が、朝から夜寝るまでどのような生活をしているか、毎日、頭の中のイメージで味わってください。
何かをしている時も、理想が叶った自分ならいま何をしているかな?とイメージをするわけです。
頭の中で具現化して、それが当たり前にリアルにイメージできるようになるまで、続けていきます。
そうすると、脳はその状態に向けて必要な情報を集め出します。
いま理想の自分に足りていないことは何か?それを手に入れるためにやることは何か?ご自身の意識の変化が始ります。
意識の変化は行動の変化につながり、やがて現実になります。それが私たちの脳の仕組みです。
人生で一番大切な人
私はこれまで多くの方のサポートをしてきて、理想に向けて一歩を踏み出せない方の多くは過去の自分が足かせになっていることを良く知っています。
自分では一歩を踏み出したいのに、また失敗したらイヤだなとか、今の自分がうまくいくはずがない、自分に自信がないと言われます。
そういう時に私がいつも質問するのは「もしご自身の一番大切なパートナーや友人から、もうあなたを信じることはできない」と言われたら、どういう気持ちになりますか?と聞いています。
今まさに同じことを、自分に言っているのではないでしょうか?ということです。
人生において一番大切なのは自分です。
人生最大のパートナーは自分をおいて他には換わりようがありません。それは恋愛、結婚などのパートナーよりも、大切なパートナーシップです。
もっと言えば親よりも大事です。
その一番大切なパートナーが望んでいる理想に対し、失敗したらイヤだなとか、うまくいくはずがないと言ってしまったら一体、他にだれが応援してくれるでしょうか?
私は、この記事を見ていただいているあなたが、理想に向かってご自分を大切に生きることを、どうかあきらめないで欲しいと思います。
まとめ
自分への3つの質問は
1.いまの経験は自分に何を教えてくれたか?
2.その理想を手に入れたいのは何のためか?
3.理想を手に入れる自信はどのくらいあるか?
ということでした。

Mikio / 心の浄化の専門家 JADP認定上級心理カウンセラー。交流分析、論理療法、認知療法、認知行動療法、フォーカシング、内観療法を会得。理想を叶えるための心のブレーキをなくしていくサポートをしています。